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2023.1.27

画像ファイル形式の特徴と使い分け②(ベクター編)

前回の「ラスターデータ」に続き、「ベクターファイル」の種類とぞれぞれの特徴をご紹介します。

  • 前回記事:画像ファイル形式の特徴と使い分け①(ラスター編)

    AI

    拡張子:.ai

    Adobe Illustratorのネイティブファイル形式で、デザイン作成用に作られたベクターファイル形式です。

    ピクセルで構成されているラスターファイルとは異なり、ベクターファイルは拡大時に解像度が低下しません。これは、ベクターファイルが、無限に拡大できる複雑なグラフ状の形式で構成されているためです。

    シンプルなAIファイルは、通常、サイズが小さいため、共有、アップロード、保存が容易です。AIファイルを編集するには、Adobe Illustratorなどの専用ソフトウェアが必要です。


    INDD

    拡張子:.indd

    Adobe InDesignのネイティブファイル形式で、レイアウトデザイン用に作られたこちらもベクターファイル形式です。

    InDesignのベースなったのは1994年にAdobe社が買収したPagemakerです。INDDファイルは電子出版、オンラインのニュースレター、プレゼンテーションのデザインに最適です。

    静的なコンテンツと共にビデオ、アニメーション、その他のグラフィックを簡単に組み込むことができます。INDDファイルを開いて編集できるのは、Adobe InDesignとCreative Cloudの他の互換プログラムのみです。

    PDF

    拡張子:.pdf

    PDF(Portable Document Format)はAdobe Systems 社によって開発された電子文書のための汎用フォーマットで、ベクター形式に区分されますが、ラスター画像も扱えるファイル形式です。

    レイアウトソフトなどで作成した文書を電子的に配布することができ、 相手のコンピュータの機種や環境によらず、オリジナルのイメージをかなりの程度正確に再生することができます。

    現在のオフセット印刷では、Adobe PDF Print Engineを使ってRIP処理でPDFデータを作り、そこから4色分のCMYK刷版を作っています。そこにCMYKインクを乗せて印刷するCTP印刷が標準です。(CTP初期にはRIP処理を後述のEPSで行っていて、その際にはトラブルが多く、現在ではほぼPDFで行われているようです)

    EPS

    拡張子:.eps

    EPS(Encapsulated PostScript)は基本的にはベクターファイル形式でありますが、ラスター画像も扱えるファイル形式です。1980年代後半にAdobe社が作成したEncapsulated PostScriptは、かつてのデザイン業界では一般的に使用される画像ファイルとなりました。

    この形式により画像やイラストを、ほとんどがテキストベースであった制作物に簡単に組み込めるようになりました。EPSテクノロジーは現在も一部では使用されていますが、多くの場合、代わりにAdobe社のネイティブファイル形式が使われるようになりました。

    EPSファイルを編集するには、Adobe Illustratorなどの専用ソフトウェアが必要です。

    SVG

    拡張子:.svg

    SVG(Scalable Vector Graphics)は、1990年代後半にW3C(World Wide Web Consortium)により公募を通じて開発され、時を経て2017年頃からwebブラウザーでSVGを使用するメリットが知られ始めました。

    SVGがwebデザイナーに人気が高い理由は、拡大により画像が劣化しない機能だけではありません。SVGにはXMLコードで記述されていて、テキスト情報を図形ではなくそのままのテキストとして保存されています。

    これにより、Googleなどの検索エンジンがSVGグラフィックのキーワードを読み取ることができるため、webサイトの検索ランキングを上げるために役立ちます。

    DXF

    拡張子:.dxf

    DXF(Drawing Exchange Format)は、1982年にAutodeskがCADアプリケーション間で、図面を共有できるように公開したベクターファイル形式のオープンソースです。

    このコンセプトは大いに歓迎され、デザインを交換するための標準形式として急速に定着し、。多くのエンジニア、デザイナー、建築家が、製品を設計する際の2Dおよび3D図面にDXFファイル形式を使用しています。

    DXFは、GIFやJPEGなどの主流のファイル形式に先駆けて発表され、約半世紀にわたってよく利用されています。一部の3D要素には対応していますが、完全にサポートしているのは2Dオブジェクトのみです。

    DWF

    拡張子:.dwf

    DWF(Design Web Format)は、Autodeskが1995年に開発したオープンフォーマットで、CAD図面、データ、グラフィック、テキスト、3DモデルなどをZIP圧縮して共有できるベクターベースのファイル形式です。

    PDFと同様にDWFファイルも標準化されているため、非常にアクセスが容易で、専用のソフトウェアを使わずに表示、閲覧、マークアップができます。

    比較的小さくシンプルなファイル形式ですが、DWFには大量のメタデータ、フォント、カラー、3Dモデルを含む画像が格納されます。複数のユーザーがコメントや注釈を追加でき、必要に応じて元のCAD形式に戻すことができます。

    無料のAutodesk Viewerで開くことができ、Adobe AcrobatでDWFファイルをPDFに変換することもできます。

    STL

    拡張子:.stl

    STL(Stereolithography)は、1987年に3D Systemsが市販の3Dプリンター用に光造形印刷技術の一部として開発した、3DプリントとCAD(コンピューター支援設計)でよく使われるファイル形式です。

    ファイルは3Dモデルやオブジェクトのサーフェスジオメトリを記述する、三角形の連結で構成されています。デザインが複雑になるほど使用する三角形の数が増え、解像度も上がりますが、色とテクスチャがないのが特徴です。

    STLファイル形式は公開後の大きな変化はなく、現在では3Dプリントの標準となっています。なお、STLにはアスキーベースとバイナリーベース(注1)の2種類があります。

    STEP

    拡張子:.step/.stp

    STEP(Standard for the Exchange of Product Data)は、3Dモデリングや印刷に使用される一般的なファイル形式で、ISO標準の交換規格(製品データ交換のための規格:ISO 10303)となっています。

    ほとんどのCADプログラムでSTEPファイルの読み込みと編集ができるため、クロスプラットフォームでの設計と共同作業が容易にできます。これは同じ3Dプリントで一般的なSTLファイルと比べて、大きな強みです。

    STEPファイルは基本的な形状だけでなく、高い精度を得るために必要な3Dモデルの完全なボディを読み取り保存でき、様々なCADプログラムで3Dモデルのデザインを作成、編集、共有するために役立ちます。

    3DS

    拡張子:.3ds

    3DS(3DStudio)は1990年からDOS版のAutodesk 3D Studioの最初のリリースから使用されていたファイル形式です。このデータにはメッシュデータ、素材属性、カメラと照明の情報など、3Dベクターグラフィックに関する情報が保存されています。

    3DSは、バイナリベース(注1)のファイル形式で、実際の画像自体ではなく記述子に制限され、共有時にすばやくファイルを取得できます。プラットフォームに制限があるものの、3DSは画像の品質と精度が高いことでよく知られていました。

    1996年にAutodesk 3D Studioでは、.3dsに代わって、.maxというファイル拡張子が採用されました。にもかかわらず3DSファイルは、ファイルサイズが小さいために現在でも3D画像に広く使用されています。

    注1:デジタルデータは、アスキー形式(テキストデータ)とバイナリー形式(アスキー以外)に大きく2分されます。3DCGに使われるOBJやFBXなどはアスキー形式に分類されるため今回は割愛しました。

  • アスキーデータとバイナリーデータ

    おわりに


    2回に渡って「ラスターファイル」と「ベクターファイル」の代表的なファイル形式とその特徴を紹介しました。



    ライター本人もまとめてみてあらためて知ったこともあります。恥ずかしながら、SVGデータがSEOに有効であることは今回初めて知りました。いやはや画像ファイル形式だけを調べてみても、ICTの進化はすごいですね。

    いかがでしたか? この記事が画像ファイル形式選択の参考になれば幸いです。
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