今回は、かねてより気になっていた「PLATEAU」について、ちょっと調べてみました。
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PLATEAU(プラトー)って何?
PLATEAUとは、国土交通省のDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環で、2020年度から始まった「3D都市モデル化プロジェクト」のことです。
PLATEAUプロジェクトの目的は?
PLATEAUプロジェクトの目的は、まず日本全国の3D都市モデルデータを整備して、オープンデータとして流通させること。そこから行政がデータを分析したり、民間が商品・サービス開発に活用したりと、データ活用につなげることのようです。
例えば、従来10年~20年かかっていたまちづくり計画を、PLATEAUデータを活用したシミュレーションや分析を通じて、短期でその効果の検証するといったことも可能になるとか。
3D都市モデルという新しいデジタル技術を用いて、まちづくりに新しい価値を生み出していくことがこのプロジェクトの狙いだそうです。
Google Earthとどこが違うの?
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PLATEAUとGoogle Earthのデータ、ぱっと見た目は似ていますが、データ規格が大きく異なるようです。
Google Earthなど、既存の3D地図は一般的に「ジオメトリモデル」といわれているもので、標高値(起伏、凸凹)をポイントで結んで、ジオメトリを形成し、それをポリゴンにする作り方で作成されています。
一方、PLATEAUのデータは個々の建物ごとにコーディングされているとともに、さらにその内部にある、壁や天井などのパーツごとにコーディングされています。
しかも、そこには都市計画基礎調査で収集された情報が入っていて、駅、病院、住宅などと記述されているだけでなく、建物ごとの材質や築年数の情報も記述されています。
ですので、「コンクリートは電波が減衰する」、「ガラスは入射角と同じように反射する」という細かなデータ活用も可能に。
確かにPLATEAUのデータは、建物と地面、建物と建物の区別がつかないジオメトリモデルと異なり、様々なシミュレーションや分析に使えそうな規格と言えます。
具体的にどう使うの?
国土交通省は2021年度、以下のようなユースケースの開発実験(計44件)を、全国で行ったそうです。
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【まち歩き体験】
新宿エリアを3D都市データを使って、BtoC向けに、この中で買い物をしたりイベントに参加したり、友達とコミュニケーションしたりするようなプラットフォームの開発。(三越伊勢丹と共同開発)
【ドローンのフライトシミュレーション】
今後ドローンが都市部で解禁されることを見越して、都市部内でドローンルートを、効率的に算出し最適なルートを出すフライトシミュレーション。
【交通シミュレーション】
大阪市内の特に大きい工事車両を流した際の交通シミュレーション。
交通量データと合わせて、年々増える夢洲(ゆめしま)への工事車両を、「最適なタイミングで最適な量を持っていく」ことを検証。(竹中工務店と共同開発)
【まち全体の防犯・監視】
街全体でIoTセンサーの情報を集めて、プラットフォーム上で統合。
不審者はいないか、倒れている人はいないかなどを監視して、警備員をオペレーション。(東急不動産・ソフトバンクと共同開発)
【防災分野のシステム開発】
郡山市で行った浸水深と建物高さや、階数のデータから建物単位でリスク分析。
条件を絞って浸水ランクが一番深くなっても、最上階が完全に浸水しない建物を分析し、周辺に住んでいる人が、いざという時に逃げ込める建物を抽出。
従来は、高台とか学校という避難場所に行くことが前提で避難計画が立てられていましたが、より近場で逃げ込める施設や建物を選定。
新しいユースケースは一般公募・公開されます。
PLATEAUプロジェクトは、「PLATEAU AWARD」と銘打った、ユースケースの一般公募を行っています。
PLATEAU AWARD 2022は、2月18日に発表されますので、新しい活用事例はそちらでご確認ください。
PLATEAU VIEW(プラトービュー)で覗いてみた。
では、概要案内はこのくらいにして、PLATEAUがどんなデータか専用Webアプリで覗いてみました。
「PLATEAU VIEW」で検索し、TOP画面中央の「マップのデータを見る」から入ります。
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現れたダイアログボックスから見たいエリアを選択します。
今回は、「愛知県」→「名古屋市」→「中区」→「建物モデル(中区)」をポチッと。
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こんな画面になります。左上にある「Add data」を押せば、見たいエリアをさらに追加できます。
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「テクスチャー付き」を押すと、一部分はテクスチャーマッピングがされていました。(2023年1月現在)
テクスチャーマッピングされるエリアは今後拡大されることでしょう。
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「高さによる塗分け」を押すと、建物が高さ別に色分けされます。
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「用途による塗分け」を押すと、建物が用途別に色分けされます。
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少し寄って建物をクリックしてみると、建築物の属性情報がダイアログで表示されました。
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ザッと覗いた限りでわかることはこれくらいです。使い方の詳細は専用ページにてご確認ください。
PLATEAUの3Dデータをダウンロードして開いてみた。
Google Earthの3Dデータは営利目的に使用することが禁止されていますが、PLATEAUのデータはオープンデータですので、自由にダウンロードして使用することが認められています。(2023年1月現在)
では、PLATEAUデータをダウンロードするために左にある「オープンデータを入手」をクリックしてみます。
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G空間情報センターサイトの名古屋市ページにジャンプしました。
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ここには「データ目録」「図郭マップ」「CityGML」「3D Tiles」「GeoJson, MVT, Shape」「OBJ」「ファイルジオデータベース」「ファイルジオデータベース(防災)」のデータが用意されていました。(2023年1月現在)
その中から、無料3DCGアプリ(Blender)で開くことができる「OBJ」を選択してダウンロード。
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データを解凍すると、建物データは「bldg」フォルダ内にありました。
データはエリア番号で管理されているので、同梱の「indexmap_op.pdf」でエリア番号を確認してからファイルを選択するスタイルです。(正直ちょっと面倒くさい)
少し手こずりましたが、名古屋駅周辺の建物データを探り当て、Blenderにインポートしてみるとこんな感じです。(スパイラルタワーが印象的)
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グルグル角度を変えたり、ライティングを変えたり、操作すると結構楽しい! (知っている建物の築年数なども簡単にわかります)
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実は、Microsoft365もOBJやFBXに対応しているので、このデータはPowerPointでも読み込めます。
データをインポートすると以下のような感じです。(マッピングのある建物データだとフリーズしたので、マッピングのないエリアを選びました)
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PowerPointでも3Dデータらしく、視点の移動や拡大・縮小はするので、データ確認くらいはできます。
みなさんも一度体験してみてはいかがでしょうか? (試していませんが、WordやExcelでも開くそうです)
まとめ
PLATEAUに触れて感じたことは、誰でも手軽に3D都市データを扱える時代が到来したことへの感慨と、シミュレーションやデータ分析から「どんな都市計画が生まれるか」という、未来に対する期待感です。
現在、PLATEAUで公開されている都市データは、応募のあった56都市のみですが、今後ユースケースが増えるにしたがい、手を挙げる市町村が増えることでしょう。
国内都市数は約1,700市町村あるので、56都市というと少ないように聞こえるかもしれませんが、3D都市モデルデータで約10,000k㎡という数字は、世界でも最大規模のようです。
これからも、進化してくであろうPLATEAUに注目していきたいと思います。