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デザイン

2025.1.9

ロゴデザインが与える心理的効果とその価値



こんにちは。わたしたちデザイン会社が、日頃ロゴデザインのご提案するにあたり、必要に応じてご説明する内容をまとめてみました。

今回は、デザイン会社がこんなことを考えながら、ロゴデザイン制作の業務に取り組んでいることを知っていただければと思います。



ロゴデザインが心理に与える影響


そもそもロゴデザインをするということは、単に企業・商品・サービスの「見た目」を整えることではありません。それは、私たちの無意識に働きかけ、ブランドの印象を形作る強力な心理的ツールです。

1971年にアメリカの心理学者によって提唱された「メラビアンの法則」によると、人が受ける印象は「視覚情報(55%)」「聴覚情報(38%)」「言語情報(7%)」によって形作られるとされています。

たとえば、スーパーやオンラインショップで特定のブランドに目が行くのは、ロゴが視覚的な記憶に強く刻まれているからかもしれません。

メラビアンの法則では、人の第一印象は3~5秒で決まるとされています。この短い時間で、ロゴは「信頼感」「親しみやすさ」「高級感」といった感情を視覚的に伝える役割を果たします。

その結果、消費者は無意識のうちにブランドへの好感や信頼を抱き、購買意欲が高まるのです。実際、ある調査では、信頼感を与えるロゴを持つ企業は、約85%の顧客がリピート購入を考えると報告されています。

このように、ロゴデザインは「飾り物」ではなく、ビジネスの成功に欠かせない重要な要素なのです。




色彩心理学とロゴデザイン


ロゴデザインにおいて「色」は、ブランドイメージを左右する重要な要素です。色彩心理学によると、色は私たちの感情や行動に深く影響を与えます。

たとえば、青色は信頼感や安定感を象徴するため、多くの金融機関やテクノロジー企業で採用されています。一方、赤色は情熱やエネルギーを連想させ、ファッションや飲食業界で頻繁に使われています。

適切な色を選ぶことで、消費者にブランドのメッセージを強く印象付けることができます。しかし、色選びを誤ると、ブランドの方向性が伝わらず、消費者に誤解を与える可能性があります。

たとえば、高級感を伝えたいブランドが明るくカジュアルな色合いを採用すると、ターゲット顧客の期待を裏切るかもしれません。

さらに、色の持つ意味は文化や地域によって異なります。西洋では白が純粋さや清潔さを象徴しますが、東洋では喪を表す場合もあります。

このため、国際的なブランド展開を目指す際には、ターゲット市場に合わせた色選びが不可欠です。



  • 色がもつ意味


    形状やフォントがもたらす印象


    ロゴデザインにおける「形状」と「フォント」は、ブランドの印象を形作る上で欠かせない要素です。形状は無意識に感情やメッセージを伝える力を持っています。

    たとえば、丸い形状は柔らかさや親しみやすさを象徴し、教育関連や子供向けのブランドに多く使用されています。一方で、四角や直線的な形状は力強さや信頼感を感じさせるため、建築やテクノロジー関連のブランドでよく見られます。

    フォントもまた、心理的効果において重要です。手書き風フォントは温かみや親しみやすさを伝え、アットホームな印象を与えます。一方で、サンセリフ体(飾りのないフォント)は現代的でプロフェッショナルな雰囲気を強調します。

    そのため、サンセリフ体ロゴはテクノロジー企業やミニマルデザインを重視するブランドで頻繁に選ばれます。形状やフォントを選ぶ際には、ブランドのターゲット層やメッセージに適したものを選ぶことが大切です。

    たとえば、高級感を伝えたいブランドが遊び心のあるフォントを採用すると、期待を裏切りかねません。適切なデザイン選択が、ブランドの信頼と魅力を高める鍵となるのです。



  • フォント(日本語・英語)の種類・選び方と定番フォントを紹介


    成功事例と失敗事例


    ロゴデザインの心理的効果を理解するために、成功した事例と失敗した事例を比較してみましょう。

    成功例として挙げられるのが、「Apple」のロゴです。このロゴを見るとき顧客はその製品に信頼を感じます。「一口かじられたリンゴ」のロゴは、簡潔、優雅、プロフェッショナル、イノベーションの象徴です。

    シンプルで洗練されたリンゴの形状は、テクノロジーの先進性と親しみやすさを兼ね備えています。

    一方、色はというと創業直後の1977年当時はカラフルでした。その後5回の変更が行われ、2013年からは現在のグレーになっています。それまであったロゴの立体要素が取り除かれ、フラットデザインになったグレーの配色は、高級感とモダンさを感じさせます。



    ロゴカラーを変更しても、ブランドが象徴するものを受け継げば、新鮮さとともに顧客に受け入れられます。こうして「Apple」は、今も世界中で愛されるブランドイメージを確立しています。


    一方で、心理的効果を無視したデザイン変更が引き起こした失敗例もあります。

    アメリカのファストファッションブランドである「Gap」は、2010年にロゴのリデザインを図りました。しかし、結果は不評の嵐となり、1週間たたずして元のロゴへと戻し、100億円以上の損失をもたらしたといいます。



    顧客はブランドに対して一定の信頼と愛着の感情を抱いており、一方的に新しい「見た目」を突きつけられれば裏切られたと感じます。

    顧客の納得を得られない一方的なロゴ変更は、ブランドの信頼や愛着を失うことにつながります。

    ロゴデザインは単なるアートではなく、ブランドメッセージを的確に伝えるための戦略的ツールです。成功例と失敗例から学び、自分たちのブランドに適したデザイン戦略を考えることが重要です。



    まとめ


    ロゴデザインを成功させるには、以下のステップを参考に、自分のブランドに最適なロゴを設計しましょう。

    ブランドの価値を明確化する
    はじめに言葉ありきです。まず、自社が提供する価値や伝えたいメッセージを整理します。そこから「信頼感」「革新性」「親しみやすさ」など、ブランドの本質を視覚的に表現することが目標です。

    ターゲット層を理解する
    ターゲットとなる消費者の年齢、性別、文化的背景などを考慮します。顧客の心理に訴えかけるデザイン要素を取り入れることで、ロゴの効果を最大化できます。

    心理学的要素を取り入れる
    色彩心理学や形状、フォントの持つ印象を活用し、ブランドメッセージを視覚化します。(例えば、信頼感を伝えたい場合は、青やグレーを基調とした落ち着いたデザインにするなど)

    専門家の意見を取り入れる
    プロのデザイナーに相談することで、心理的効果を意識したデザインを作る手助けを得ることができます。経験豊富なプロの知識を活用することで、さらに洗練されたロゴが完成します。


    ロゴは、ブランドの顔であり、最初に消費者に印象を与える重要な要素です。心理的効果を意識してデザインを工夫することで、ブランドの魅力を最大限に引き出し、顧客の心に深く刻まれるロゴを作ることができるでしょう。


  • ロゴ制作事例

  • 「わたしたちは60年にわたりメーカーを支援してきた、愛知県名古屋市のデザイン会社です」