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展示会

2022.8.22

BtoB業界でリアル展示会が重視される理由



2022年、あらゆる業界で展示会のリアル開催が復活し、活況の様子をよく見かけます。

もちろん開催にはコロナ対策は欠かせない施策になっており、主催者側も緊張感ある開催になっていることと思います。

でも、少し不思議に思いませんか?

オンライン展示会、オンラインセミナーという手法が確立された今、何故リスクをとってまで続々とリアル開催するのか?

そこにはBtoBビジネス固有の事情もあり、その側面を解説していきたいと思います。

コロナ禍で激減したリアル展示会

2020年3月コロナ第1波が来ると、リアル展示会の中止が相次ぎ、アンケートでわかるように50%の企業は新規顧客獲得の営業機会を失い、不安や不満を感じる結果となりました。

そのうちオンライン展示会を開催するイベントが続々登場し、徐々にオンラインイベントにシフトしていきました。


それ以後、第2波〜現在の第7波まで続く中、次第に展示会はオンラインとリアルの併催が基本形となっていきます。

そうした形になった背後には、オンライン開催だけでは十分な成果が出せなかった出展企業の不満の声があったのだろうと思います。





2020年当時、「情報・通信」のようにオンライン展示会だけで成果が出せる業界の企業は全体の3割程度で、その他7割くらいの企業は不満を感じているという記事を読んだ記憶があります。

主催者側も敵が感染症ですので、もしもの時のリスク回避のためにオンラインとリアルの併催が基本になったのでしょう。

なぜ、多くの業界はリアル展示会に期待するのか?

それは一言で言うと、オンラインでは中々アプローチしにくい顧客とも接点が持てるからです。

オンラインでの個人情報フォームに記入してからの問い合わせに比べ、リアル展示会では名刺交換や自社ブースに興味のありそうな人にこちらからアプローチするなど、顧客と接点を持つハードルが下がります。

しかも、オンラインでは接点が持ちにくい顧客層に声掛けしたり、直接自社の商品・サービスに触れてもらったりと、多様な顧客層に五感に訴えるアプローチができるメリットがあります。

また、展示会によっては経営層や部長といった決裁権を持つ方々も数多く参加します。

そういった方々の中には、自分が気になったサービスがあっても「部下に資料請求や商談を任せてその結果だけを聞く」というケースが多く、オンラインでは接点が持ちにくいと言われています。

しかし、展示会会場では来場者は名刺入りの入場証などを付けて役職がわかるようになっていることが多いため、積極的に役職者に対して声かけを行うことで直接商談機会をつくるチャンスがあります。

こうしたオンラインでは実現しない顧客へのアプローチができることがリアル展示会のメリットです。

リアル展示会で名刺交換した見込み客の特性

リアル展示会は、新規見込み客との接点構築において有効である一方、そこで獲得できる「見込み客の特性」を認識することが大切です。

昨今では、顧客が自身で課題を認識し、解決策を考え、必要だと思うサービスには自分で進んでアクションをするようになっています。

Webマーケティングではそういった方に対して、資料ダウンロード、セミナー申し込み、問い合わせといったコンバージョンポイントを設けています。


そして、そこにたどり着くように様々な導線を作り、アクションを起こしてもらえるような施策を打ちます。

こうしたプロセスを経てWebサイトへ来訪する見込み客は、比較的導入意向や課題感を持っているため、受注確度の観点から「今すぐ客」と言われます。

一方、展示会で接点が持てる見込み客は「そのうち客」と言われており、購買意欲や検討フェーズが低く、その後の見込み客育成プロセスが必要な層です。

それは展示会来場者の大半が「情報収集目的」であり、よほど気になっているサービス以外は「自社に役立ちそうな商品やサービスはないか」という意識の方が多いからです。

ですので展示会後も、関心を持ち続けてもらうためのアフターフォロー営業がとても重要になります。

交換した名刺をリスト化し、対面営業のアポイントをとったり、お役立ち情報を定期的にメールしたりと、アプローチを続けることで顧客を育成していきます。

ここをしっかり実行できれば、高価なCRMツールやSFAツールを使わずとも、多くの新規見込み顧客との接点が構築できます。

テクノロジーの進化によって変わること、変わらないこと

かつてアメリカでの意識調査で、約70%のマーケターがBtoBビジネスにおいて最も重要な顧客との接点は「イベント」と答えていた記事を読んだ記憶があります。

この「イベント」には、展示会、商談会、セミナーなどが含まれます。

これはBtoBビジネスにおいて、「リアルな体験」が一番響くということを表しているのではないでしょうか。

個人の「衝動買い」ではなく、複数の合議による「計画的な購買」をするBtoBビジネスにおいては、社内の上長、さらにその上長と複数の人間を説得できないと購買には至りません。

特に「製造業」「建設業」「小売業」などの担当者は、実際に商品・サービスを見て、触って、話して、そこで「インパクトある体験」がないと、その商品・サービスの話題を社内に持ち帰らないでしょう。

今後、テクノロジーの進化でオンラインイベントが増えいていくことでしょうが、BtoBビジネスにおいては当分、この「リアルな体験」の価値は下がることはないと思います。

しばらくは、「リアル展示ならではの体験」と「オンライン展示ならではの体験」の両方を考えていくことになるでしょう。

コロナをきっかけに、オンライン、オフライン問わず、あらためて「顧客体験」を見つめ直してみてはいかがでしょうか?
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